【累計10,000本販売記念】ヘアブラシの開発裏話と枯山水庭園と
こんにちは。
ライターの鈴木です。
私の住んでいる地域は、
「岐阜県土岐市」というここ最近発展が目覚ましい田舎タウンになります。
3ヵ月前にはついにイオンモール土岐がオープンし、
土岐プレミアムアウトレットと併せて一日過ごせる町になりました。
そんな土岐市では、先週末にマイナス6度という冷凍庫に匹敵する気温を味わうことに。
髪の毛も凍てつく寒さを乗り越え、
今回は累計販売本数10,000本を突破した「ケアストレートブラシ」の開発裏話を少しだけ公開しちゃいます。
普段は知ることが出来ない、商品開発の舞台裏を楽しんでください。
目次
少年
ケアストレートブラシの開発担当者、N君は子供の頃からくせ毛に悩んできました。
「気持ちはこれだけ真っすぐなのに、なんで髪の毛は真っすぐにならないんだ…」
それもそのはず。
直毛の場合、内部のタンパク質達はまっすぐ結びついていますが、
くせ毛の場合、タンパク質が曲がった状態で結びついています。
これは毛穴のゆがみから発生しているため、強いクセになってしまいます。
N君の真っすぐな気持ちとは裏腹に、頑張ってもくせ毛は広がり続けるのです。
「憧れのサラサラストレートヘアーになりたい…」
N少年の想いが20年以上経って動き出すことになるとは…この時、誰も知る由はありませんでした。
産声
時は2017年、N君は商品開発を生業とし、日々業務に勤しんできました。
ある時ふと、ヘアケア関連の商品を手に取った時、
「くせ毛が解消するように見えて、結局髪の毛に対してダメージを強いるものばかりじゃないか!
くせ毛の自分なら良く分かるけど、髪の毛にダメージを与えては意味はないんだ…」
N君は気づき、そして決心します。
「世の中に無いなら、僕が作ろう。髪の毛にダメージを与えないヘアブラシで、世の中の悩みを解消しよう!」
2017年3月一大プロジェクトがスタートした瞬間です。
挫折
くせ毛用のヘアブラシ、「ケアストレートブラシ」と名付けられたその商品は、
「極力優しく、そして効果があるものを」という相反する要求を満たすため、開発初期段階から困難をきわめました。
くせ毛を伸ばすためには、物理的に毛束を伸ばす必要がある…
効果的に伸ばすためには、狭い空間に毛束を入れる必要がある…
理屈は分かっていても、試作品を試すとうまくいかず試行錯誤の日々。
2017年6月、ついに開発中止が言い渡されます。
少年の頃に悩まされたくせ毛に、大人になってもここまで悩まされるのかと、N君は頭を抱えます。
枯山水
N君と一緒にケアストレートブラシの開発を進めていた、商品開発マネージャーのY氏。
世の中を混乱の渦に巻き込んだ新型コロナウイルスが落ち着きを見せたタイミングで、Y氏は妻と京の都を訪れます。
日々の疲れを、美しい日本庭園を眺めながら癒されていると、急にY氏の頭の中がグルグルと回りはじめます。
「ちょい待ち。この水を用いず、石や砂だけで描かれた山水の流れ。
この広い空間に表現された、うねりの形状と石を避ける曲線。
合間に見える直線の流れ…あの商品に繋がるやないかい!」
静寂に包まれていた庭園に、興奮状態でスマートフォンを手にしたY氏の声と、
それを制止する警備員の声が響き渡ります。
「N君!枯山水や!うねりの謎はすべて解けたで!」
そう、それは枯山水と呼ばれる、日本ならではの❝侘び寂び❞の空間が表現された庭園。
2021年8月、枯山水によって、止まっていた開発に再び水が流れはじめたのです。
❝活❞
かつて、神谷活心流は、「人を活かす剣」と呼ばれました。
ケアストレートブラシは、「くせ毛を活かす櫛」として開発が進められることになります。
それは、くせ毛を❝悪❞とするのでは無く、くせ毛を活かした上でストレートにする。
5年前、くせ毛を退治しようとしたばかりに開発中止に追い込まれた、プロジェクトチームの発想の転換によるものでした。
枯山水で眺めた形状を思い出しながら、ヘアアイロンやストレートパーマのように熱や薬を使わず、髪の毛を直線に導く方法を。
2022年1月に完成した最初のサンプルから、幾度となく形状を変えながら、
2022年5月、ついにケアストレートブラシの最終形が完成します。
信念
文明の進化に抗い、素材そのもので勝負したケアストレートブラシ。
例えるなら、自然から採取された素材のみを使って、調味料で味付けされたお肉料理に挑むようなものです。
Y氏、N君を中心とした開発チームの努力の賜物で、「髪の毛にダメージを与えないヘアブラシで、世の中の悩みを解消しよう」という、あの日描いた夢がついに…
信念を持ち開発を続けたことで世の中にケアストレートブラシが発表された瞬間、
商品と髪の毛をとぎ続けたN君は、サラサラストレートヘアに変貌を遂げていました。
■記事担当
アメプラチーフライター / 鈴木D
2021年株式会社アメイズプラスに中途入社。
取材に協力いただいたY氏、N君、ありがとうございました。
商品開発の裏側を知ることで、悩みや苦労を知ることで、この商品をもっと世の中のくせ毛に悩む人に知って貰いたい…
開発チームでは無いメンバーでも、そう感じることが出来る瞬間でした。